SSブログ

アコーデイオンカーテンの国境を越えて。 [発育途上症候群]

ひょんなきっかけでワシントンDCへ赴く機会が訪れる。八神純子さんとの
共作の「さくら証書」を桜フェステイバル開幕で弾かないかと八神さんご自身
から相談されたのだ。もちろん!ちょうどレコーデイングでNYに八神さんが
いらっしゃっったので、そのあとに一緒に移動させてもらった。
犬を預けたり、パッキングをしたり、戸締まりしたり、、ばたばたとうれしさとが
混じりあいながら準備に追われていると、あっというまに数時間が流れ、
気がついたらすでにドメステイックの小さな飛行機のアイルシートに座っていた。

いま話題のAndy Grammerや山中千尋さんトリオなどの名士たちが出演されている
ことも現地で知った。アンデイなど縁があって楽屋が隣、しかもアコーデイオンカーテンで
仕切ってあっただけなので、しかもそのカーテンの磁石がばかになっていたりもしたもので、
鏡越しに時々目が合ってしまう。
「あ、ども」「あ、こちらこそ」状態。これがなんともいい雰囲気を醸し出す。

「I am happy to be here を日本語で言いたいけどおしえて」
「ここにいれてしあわせです、って言うといいわよ」
あまりにアコーデイオンのこちらが気になったのか、
カーテンを開けたアンデイの質問に純子さんが笑顔でこたえてあげている。
彼とて出演前は緊張である。こればかりは何十年やってようがどんな大きな
会場を経験していようが毎回同じ瞬間が訪れる。

演奏は「さくら証書」そしてソロで八神さんが
「翼」「パープルタウン」僕は最初の1曲を一緒に出て
弾かせていただいた。袖からゆっくりとライトの中に出て行くと徐々にお客さんの顔があらわに
なっていく。思ったよりも日本人のお客さんが少ないような気もしたがほどいい
タイミングでさくらの舞い降りるイントロを鍵盤からはじいてみる。

思えば直前に
ペダルをふむとそのままピアノが動いてしまうのを大道具さんがなおしてくれたり、
譜面台を勝手にかたづけてしまった上手のクルーがいたり小さなアクシデント
があちこちで頻発するが、スタッフ袖にぴたっとはりついたアメリカ人クルーたちと
しっかと手をつないで平常心で瞬間瞬間を乗り切る。
舞台上のたった数分の演奏中にも、劇場に住んでいる「いたずらの神様」がおもいがけない
こそばしかたでトリックをしかけてきたりする。いわゆる「魔が差す」というような。
それを俯瞰で感じながらもそのひとつひとつをクリアしていく。
最後のバースで八神さんの顔をみたら彼女も同じタイミングで
僕のことをふりかえって見られた。八神さん越しに見えたお客様の顔顔顔。
その表情は柔和でみな笑っている。
静かにエンデイングを迎えると、暖かい拍手に包まれて心が抱きしめられる
ようだった。

僕が八神さんに紹介されて袖にはけると、そこに待ってた司会者やスタッフのひとたち
ひとりひとりとぎゅっとだきあう。袖には舞台とは違う別の感動がいつもこっそりと
ぼくたちを待っていてくれる。

全て終えてレセプション会場に向かう途中の横断歩道でふと素晴らしい景色を見た。
sunset の中の白い月とキャピタルならでは建物との競演。
ワシントンDCに再び来れてよかった、あたたかい人々と出会えて、その人たちに見守られ
ながら、「さくら証書」を八神さんとスカイプで作ったあの原点に
いまいちどタイムスリップしたような、、、気がした。

DCは僕がアメリカ大陸を車で犬と横断中に一回、ビッグバンドの演奏で一回、今回は3回目の
滞在であったけれど、いつの日かあのWarner Theatreの楽屋にまたもどる日がくるだろか。
それはわからないが、あのアコーデイオンカーテンの磁石がどうなっているかもういちど
自分の手でたしかめてみたい。

お世話になりましたすべてのみなさま、ありがとうございました。

nice!(28)  コメント(16)  トラックバック(0) 

nice! 28

コメント 16

にゃんこ

こちらにも更新ありがとうございます(*^^*)
テレビのニュースで千ちゃんと八神さんの姿が映った時には大興奮しちゃいましたぁ(≧▽≦)
桜はまだまだのようで残念でしたがまた
同じ場所に立てた事本当に良かったですね♪
手作り感たっぷりのアコーディオンカーテン。私も磁石がとても気になります(笑)
是非また来年も行って確かめて来て下さいね♪
またその時の報告お待ちしておりますo(^-^)o
by にゃんこ (2013-03-26 01:06) 

おかぴー

心が抱きしめられる…
素晴らしい時間を過ごされたんですね(^_^)☆
by おかぴー (2013-03-26 06:56) 

うりこ

お疲れ様でした。
袖での緊張感、大スターも同じなんですね。
あの袖の薄暗さと、舞台の明るさの変わり目がたまりません(笑)

出来ることなら、八神さんと千里さんのステージ、観たかったです!!


by うりこ (2013-03-26 07:31) 

MICKEY

さくら祭りお疲れ様でした。

ブログで読むと千里さんの一つ一つの瞬間が手に取るように分かります。
ちょうど卒業が3つも重なった今年、千里さんがDCでさくら証書を演奏する…。なんだかとても嬉しかったです。
TVでも大成功を物語る素敵な千里さんの笑顔を見る事が出来ました。

忙しい中、ブログの更新ありがとうございました。
by MICKEY (2013-03-26 08:15) 

Peace be with U

森に千里さんがまた来てくださって嬉しいです。
読んでいて私もじーんと熱い気持ちがこみ上げました。
あたたかいスタッフやアーティストの方々とひとつになって、素敵なステージだったでしょうね。
きっと会場は満開の桜のような雰囲気だっただろうなあ。

今度は千里さんのチームを引き連れて、この会場でライブですね!
by Peace be with U (2013-03-26 10:19) 

NO NAME

素敵なタイミングがいっぱいですね~(^^

新しい一年にむけて
しあわせのさくらが舞い降りますように
by NO NAME (2013-03-26 18:16) 

しろこ。

↑↑
<(ToT)>なまえかくのわすれたァ
失礼しました
by しろこ。 (2013-03-26 18:18) 

そのみ☆わん

まわりすべてに感謝したい千里さんの気持ちが伝わってきてとても良いDCの演奏だったのですね~~[かわいい][手(パー)][かわいい]
アコーディオンカーテン越しのあたたかい会話やふれあいも心に残りますし、
演者、スタッフ、お客さまみなさんで作り上げたステージ[かわいい]最高だねーってDCのお月さまもにっこり゚゚* ○。゜*。顔を覗かせてましたね[桜][桜][桜](*^_^*)
by そのみ☆わん (2013-03-26 18:30) 

なおこ

作曲、作詞、執筆・・・とお忙しいのに森の更新、ありがとうございます!

ワシントンの桜祭り、お疲れさまでした。
素敵な時間を過ごされたんですね。
千里さんの文章?言葉のセンス?
いつもながら、なんとも言えない幸せな気分にさせてくれる、森ですね。

ニュースで千里さんの姿を拝見して、
ピアノを弾く姿に惚れなおしてしまいました・・・
千里さんは、ステージと笑顔がホントによく似合う!

by なおこ (2013-03-26 21:11) 

よっこ

千里さん、こんにちは。
日本に居る私(達)も
満開の桜の花につつまれて
千里さんのピアノを聴く事が出来たら
どんなに幸せでしょうか。
でも、そんな素敵な夢を見るのも
幸せの<ひとつ>ですね。
by よっこ (2013-03-26 21:27) 

さっち♪

読みながら 私もその会場にいる様な気持ちになりました。そしてなんだか心があったかです。千里さんありがとうございます (*^_^*)
いたずらの神様 一緒に演奏したかったのかもしれませんね-(*^^*)

千里さんが あたたかい人達に囲まれて にっこり笑ってる顔が見える様ですよ!!

by さっち♪ (2013-03-26 21:47) 

てちてち

ブログの更新嬉しいです!

ここ数日の千里さんの日々が見えてくるようです。
人の縁て不思議ですね。

よい詩ができそうですね!
by てちてち (2013-03-27 00:05) 

ゆっち

その数日、波乗り千里さんの瞳に映ったものの行は、私は、『ほんとうのこと』と知りながら。夢を見たんだよ!よりも現実ってこんなにも熱く涙がぽろぽろ溢れるのではいー身体の中いっぱいにストーリーを残していくんだよ・・ときこえました。
by ゆっち (2013-03-27 19:11) 

ともぞえ

ライブの緊張感が千里さんの言葉から伝わってきました。

神様のいたずらが有っても千里さんや演者さんのキャリアが人柄が周りのに安心感を与えてくれているようにも思いました。

千里さんのピアノ、早く日本でも聞かせて欲しいです!(^^)!
by ともぞえ (2013-03-29 10:04) 

Agapanthus

まるで映画のような「ひとつの物語」に引き込まれて、
何度も読み返しました!!
無意識に過ぎていく時間の中にも、大切な事(物)はたくさんあって、
千里さんは一瞬一瞬を特殊な感覚でキャッチしている・・・のですね。
それが素敵な言葉で表現されていて、森のぬくもりを感じました。

by Agapanthus (2013-03-29 18:36) 

りえ♪

日本のニュースで千里さんの笑顔を見たとき、とても感動しましたが、その日の千里さんが、こんな素敵な時間を過ごされていたのを、こうして文章にしてくださって、それを読めるって、ぐっときますね。
by りえ♪ (2013-04-07 13:36) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。